売上13%アップした小売業DXのAI導入チームづくり
〜AI搭載のIoTカメラ&レコメンド〜
- 業界/業種:
- 小売業
- 洋服/革製品
- 支援プラン:
- DXリーダー育成
- エンジニア育成
- 技術サポート
- プロジェクト支援
目次
- 1. プロジェクト概要
- 1-1. 目指すゴール
- 1-2. ご相談の背景・問題点
- 2. 問題の分析
- 2-1. クリアすべき課題
- 2-2. ご提案プラン
- 3. サポート内容
- 3-1. DXリーダー研修
- 3-2. エンジニア育成
- 3-3. プロジェクト支援
- 4. まとめ
プロジェクト概要
目指すゴール
このプロジェクトでは、小売店の品揃え・導線・棚配置をデータで判断できる
顧客データ活用の仕組みづくりにチャレンジしました。
1つ目の施策が、小売店に設置したIoTカメラで顧客分析・導線解析です。
たとえば、靴・革製品を購入するお客様は高頻度で「お手入れ用品」に興味を持ちます。
しかし商品が目に入らなければ、せっかくの購入チャンスを逃してしまいます。
2つ目の施策が、入口にAI搭載のデジタルサイネージを設置しました。
これは、「客層(年齢, 性別)」に応じて適切な売り場・オススメ商品を案内する仕組みです。
これらの施策を通じて「購入率・顧客単価アップ」を目指しました。
■ 購入率(来店者の購入割合)の向上 => AI搭載のデジタルサイネージ
- 目当ての商品を見つける時間が購入率に影響するので、「年齢・性別に合わせた売り場」を案内する属性分析
- 「気に入った商品があれば買う」といったお客様のために、どういった商品が人気なのか表示するレコメンド機能
■ 顧客単価の向上 => IoTカメラのデータで導線/品揃えを改善
- 過去の購買データから「よくある買い合わせ」を分析して、手入用具・小物など「手軽なもう一品」が目に入るよう導線を工夫
- 来店が多い客層(年齢, 性別, 服装)に向けた品揃えを充実させ、1回の購入点数が増える施策(セット割引など)を実施
ご相談の背景・問題点
小売業はDX・データ活用の成功事例が多く出ているので、
初回ヒアリングの時点でビジョンが明確だったのを覚えています。
特に印象的だったのが、小売業DXに特化した既存ツールを使うのではなく、
「変化する状況に合わせて自社で課題解決できる組織にしたい」といった目的があり、
次の展開として、オンラインショップへのAI活用なども見越していました。
しかし、あくまで小売業で成長してきた企業です。
どうやってテクノロジー活用できるデジタル組織にシフトするか?
そこがプロジェクトの大きなテーマでした。
■ デジタル推進チームをゼロから作る:
- ビジネス現場からリーダークラスの人材を選抜して育成からスタートする
- チーム立ち上げのノウハウ(選定基準づくり・育成プラン など)が無い
- 推進チームが自走するまでの期間、プロジェクト実践サポートが必要
■ ITプロジェクトの経験値が無い:
- PoSレジ導入, ECサイト構築しかプロジェクト経験がない
- ベンダーの指示どおりに作業したのみで、企画づくりは未経験
問題の分析
クリアすべき課題
ゼロからチームを立ち上げるので、クリアすべき課題は明快でした。
しかし、立ち上げフェーズは「1つの計画ミス」が「全体の失敗」に繋がるので、
各施策のリカバリー案も含めて慎重に課題分析を行いました。
■ ビジネス面:デジタル導入の推進スキルを身に付ける
小売業の成功事例をテーマに、企画・開発・導入などプロジェクト推進の全体イメージを掴み、 どうアレンジすれば自社活用できるのかワークショップ形式で一連の思考プロセスを習得する
■ テクノロジー面:エンジニアの採用, 少数精鋭チームへの育成
初期フェーズは変更が多く、少人数で密に連携するために「多少は粗くても1人で全体を作れるエンジニア」が必要。 失敗が許容できる社内ツール開発の利点を活かして、事業ビジョンにマッチする人材をプロジェクト実践の中で育成する
ご提案プラン
課題分析でも挙げたとおり、企画/推進チーム・開発チームの育成が必要だったため、
3つのフェーズに分けたデジタル組織づくりをご提案しました。
実際には各フェーズが並行して走った場面が多かったですが、
大まかには以下のようにマイルストーンを分けて計画しました。
■ フェーズ1:推進チームづくり
- AI・DXに関する一般論(事例, パターン, 専門知識)をベースに、プロジェクトの推進ノウハウを体系的にインプット
- 小売業界のDX成功事例の分析ノウハウを学びながら、自社ビジネスに沿った推進プランづくり実践ワークでトレーニング
■ フェーズ2:開発チームづくり
- 多少は粗くても1人でプロトタイプ開発(試作品)できるレベルを目指し、まずはシステム開発に必要なスキルを全体的に広く習得する
- 言われたまま開発するだけでなく、推進チームの意図を聞き取ってビジネス要件をさらに良い内容にブラッシュアップできる視点を磨く
■ フェーズ3:プロジェクト実践
- 実際の店舗にテスト導入できるプロトタイプ(試作品)を完成させる
- テスト運用の結果を見つつ、ブラッシュアップを繰り返す
サポート内容
DX推進リーダー研修
プロジェクト規模は「5名×2チーム」の小規模スタートだったので、
1人1人がリーダーとして自分で考えて計画・実践していくスキルが求められました。
そこで、あえてDXリーダー向けの研修を全員で受ける判断となり、
DXプロジェクトの推進プランを実践ワークでトレーニングしました。
エンジニア育成
エンジニア育成では「1人で開発を完結できる広いスキル」が必要となるので、
細かいプログラミングよりも「どうすれば開発プロジェクトが着地するのか?」といった
少し粗くても全てのプロセスを前に転がす自走力をポイントに設定しました。
プロジェクト支援(技術サポート、推進サポート)
プロジェクト実践フェーズでは、各チームに足りない人材・スキルが見つかるたびに
弊社デジサクが穴を埋めていく形式を採用しました。
定例ミーティングに加えて、進捗に応じたメンタリング・ワークショップを実施して、
プロジェクト全体を回すスキルが体系的に身に付くサポート設計です。
まとめ
冒頭の繰り返しとなりますが、プロジェクトの全体目標は以下のとおりです。
■ 購入率(来店者の購入割合)の向上 => AI搭載のデジタルサイネージ
入口にAI搭載のデジタルサイネージを設置して、 「客層(年齢, 性別)」に応じて適切な売り場・オススメ商品を案内する仕組みを作る
■ 顧客単価の向上 => IoTカメラのデータで導線/品揃えを改善
来店が多い客層(年齢, 性別, 服装)に向けた品揃えを充実させて、 1回の購入点数が増えるよう工夫したり、「よくある買い合わせ」に基づいた導線を作る
デジタル推進チームを立ち上げた結果として、テスト導入した店舗で
売上換算で前年比113%(105% × 107% ≒ 113%)の導入効果が得られました。
- 購入率: 前年比105%
- 客単価: 前年比107%
まだデジタル推進チームとしては成長途中なので、今後の発展が楽しみです。
以上、本記事がDXにチャレンジされる皆様のお役に立つ情報になると幸いです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。