AIカメラが品質検査にビジネス価値をもたらす
〜製造業DXに向けた品質データ活用〜
- 業界/業種:
- 製造業
- 部品メーカー
- 支援プラン:
- データ戦略コンサル
- AIエンジニア育成
- 開発サポート
- 中期計画づくり
目次
- 1. プロジェクト概要
- 1-1. 目指すゴール
- 1-2. ご相談の背景・問題点
- 2. 問題の分析
- 2-1. クリアすべき課題
- 2-2. ご提案プラン
- 3. サポート内容
- 3-1. データ戦略コンサル
- 3-2. AIエンジニアの社内育成
- 3-3. プロトタイプ開発のサポート
- 3-4. 中期計画づくり
- 4. まとめ
プロジェクト概要
目指すゴール
このプロジェクトでは、時間をかけて大量の目視チェックを行う
「品質検査」に新たなビジネス価値を生み出すことにチャレンジしました。
製造業において、品質検査は消費者の安全を守る重要プロセスである反面、
多くの企業が「人手不足・コスト圧迫」で悩む極めて重要な問題があります。
そこで、AIカメラを活用した2つの仕組みづくりを目指しました。
■ 目視チェックの効率・精度を向上させる:
- AIカメラが傷の発見をアシスト
- 使うほどにAIが賢くなる自動学習
■ 品質データ分析からビジネス価値を創出する:
- AIカメラのデータから不良の傾向・要因を分析
- 要因分析に基づいた予防策を立てる
ご相談の背景・問題点
初回のヒアリングで印象的だった内容が、人手不足といった表面的な問題への対処だけでなく、
AI活用を通じて製造プロセス改善・予防策に繋がる「データ資産」を構築するビジョンでした。
そしてもう1点、「速さ・再現性を得意とするAI」と「柔軟性を得意とする人間」の
ベストな役割分担を目指していくテーマ設定も魅力的でした。
しかし「良いアイディア」と「実現可能性」は別問題であり、
現状では外注ベンダーへの依存が強く、DX推進にスピード・柔軟性が足りない状況でした。
そのため、まずは社内でプロトタイプ開発できる組織づくりからスタートでした。
具体的にはデジタル戦略を描くリーダー育成・社内エンジニア育成の2点です。
■ デジタル戦略/データ戦略の描き方が分からない => 戦略コンサルティング
- DX推進室が立ち上がったばかりで、AIに関する基礎リテラシーは学んだけれど、自社ビジネスに導入していくプロセス・戦略イメージが持てない
- 「生産プロセス改善につながるデータ分析」といったゴールは明確だが、そのためにどんなデータが必要で、どうやって集めるのか分からない
■ 外注ベンダーへの強い依存を解消したい => エンジニア育成・開発サポート
- これまでシステム開発は外注ベンダーに任せきりだったので、社内で企画・要件定義するノウハウがない
- 「プロトタイプ開発までは内製化」してスピード感を出したいが、社内にエンジニアがいないので組織づくりから必要
問題の分析
クリアすべき課題
まず、本プロジェクトで解決すべき課題の優先順位を決めました。
特に重要だと考えていたのは2点です。
- データのモデリング(分析に使うデータ構造を決める作業)
- プロトタイプを作れるAIエンジニアの育成
理由としては、まずAI・データ活用プロジェクトでは
「分析に使うデータ構造」を間違うとデータ収集から再スタートなので
時間・コスト面のダメージが大きいです(数週間〜数ヶ月のロスになる)
続いて、エンジニア育成の優先度が高い理由としては、
いくらDX推進室でアイディアを考えても「あくまで仮説」に過ぎないので、
プロトタイプ開発して現場で仮説検証できる組織づくりを重視しました。
ご提案プラン
まずは上記2点の課題クリアをフェーズ1の目標範囲に定めて、
「データ構造を決める => 最初のプロトタイプを開発 => 中期計画をつくる」
ここまでのプロジェクトをご提案しました。
コンセプトとしては「プロトタイプ開発を内製化」することで、
アイディアの仮説検証が素早く回せるデジタル推進の土台づくりです。
サポート内容
データ戦略コンサル
まずは「データとは何か?」の定義からスタートして、
予防策の分析に有用なデータを集めるための基礎リテラシーを固めました。
そこから、集めたデータをどのようにAI活用に繋げると良いのか理解できるよう、
AI活用戦略のセオリーが身につく実践ワークショップを行いました。
AIエンジニアの社内育成
単純に「1からAIの作り方」を学ぶのは非効率なので、
「目的に合わせて最短で成果を出すノウハウ」からスタートします。
ただ言われたプロダクトを開発するエンジニアでなく、
テクノロジー視点でDX推進室・DXリーダーを支える存在となる事を目指します。
プロトタイプ開発のサポート
プロトタイプは「アイディアの仮説検証」を目的としたテスト運用に使うので、
ビジネス現場から「DX推進室が作るツールは使いづらい」と悪評が立たないようにしたいです。
つまり、「開発規模が小さいだけで、クオリティは担保する」ことが成功のポイントです。
そのためには、クオリティの最低ラインを決める「テスト運用計画」がキモになってきます。
中期計画づくり
DXプロジェクト全体の流れに沿って、フェーズ2以降のプランを
どのように計画するのかアドバイスを行いました。
特に、プロトタイプ開発がゴールだったフェーズ1とは異なり、
実際に現場運用する実レベルの開発をマネジメントするのは簡単ではありません。
よくある失敗・進め方のセオリーなど体系的なノウハウを整理しつつ、
DX推進のネクストアクションを計画しました。
まとめ
繰り返しとなりますが、
本プロジェクトで最も大切にしたポイントは2点です。
- データのモデリング(分析に使うデータ構造を決める作業)
- プロトタイプを作れるAIエンジニアの育成
いきなりAI開発に飛び込むのではなく、
確実にPDCAサイクルを回すための土台づくりが大きな成功要因だと考えています。
DXプロジェクトにおいて、特にAI活用を考える場合には
失敗した時のリカバリー作業(データ収集のやり直し など)が異常な負担になるので
弊社デジサクでは着実な土台づくりからスタートする事をオススメしています。
以上、本記事がDXにチャレンジされる皆様のお役に立つ情報になると幸いです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。